当サイトに掲載している「豚骨臭チャート」。
その中でも、ひときわ「アッサリ」と「コッテリ」のバランスが絶妙な「ラーメン伸」。
実は、この一杯を生み出す大将は、一切「味見」をしないのです。

毎日、何百杯ものラーメンを提供する。
その一杯一杯のスープの味を確かめるのは、ラーメン職人として当然の行為……そう誰もが思っています。

しかし、ラーメン伸の大将は違います。

「味見はしないね。」

大将はそう、事も無げに言います。
では、どうやってあの極上のバランスを生み出しているのでしょうか?

「味見をし過ぎると、舌がバカになってしまう。そうなると、自分の味に自信が持てなくなって、不安になってどんどんスープを濃くしてしまうもんなんよ。」

大将の口から漏れたのは、プロだからこそ抱える、想像を絶する恐怖でした。

炊き続けて、ある一瞬、最高に美味い時間帯が訪れる。
その「奇跡の一杯」を守り抜くために、大将は自らの「舌」ではなく、五感を信じる道を選んだのです。

スープの対流(グツグツ煮える様子)、香り、そしてお玉から滴るスープの粘度。
そのすべてを、大将は身体に染み付いた感覚で捉えているのです。

「味が落ちた」と思われたら、何年も足が遠のく厳しい世界。

だからこそ、私たちが今啜っている「いつも美味しい店」の一杯は、大将が毎日、極限の葛藤を乗り越えて守り抜いた「奇跡の一杯」なんです。

福岡の職人たちが命を懸けて守る、この「熟成の深み」。
ぜひ、その背景にある覚悟も一緒に味わっていただければ嬉しいです。